go MaCraLife Top
2000年版


2000.1.12

●Y2Kって、これでいいのか?

西暦二千年も旬日を超えて、Y2K問題が新聞などの記事になることも少なくなりましたね。しかし、この正月の報道でちょっと引っかかったことが。

(1)こういうのを無事というのか?

ライフラインなどには異常が出なかった。これはもう、本当に喜ばしいことです。

でも、大過なく済んだ、安全に済んだ、というけれど、複数の原発で計器異常があったなんていうのは、もうものすごい問題じゃないっすか? たまたま、そのときに事故が重ならなかったりしたからよかったけど。これ、炉心溶融が起きていてもわからない状態がしばらく続いたってことだったりするわけじゃないですか?

おまけに、原発関係の人たちって「絶対だいじょうぶ」みたいなことを言ってなかったか? ほかの業界の連中はもう少し正直だった。「考えられる対策は全てとりました。しかし、“絶対”と言えるか、といわれると……(ここら辺は口を濁す)。だから、不測の事態に備えて特別態勢をとります」ってことだったわけでしょ。だけど、もし原発が同じように言ったら「不測の事態があり得るなら止めろ!」って言われちゃうかもしんない。止めたら最後、二度と動かせないかもしれない、いや、止めたって怖いのかもしれないけど……だからなんでしょうけどね。

さらに、核アレルギーの新聞各紙がそこを騒がないのも不思議でした。

また、インターネットなんていうコンピュータ依存度が極めつけに高い「コンピュータの中の世界」では、個人レベルでは対応しにくい問題ということもあるだろうけど、結構異常があったじゃないですか。掲示板の年表示が「19100年」になっちゃった、とか、メーラーの日付がおかしいとかね。私の周りではメーラーで「1980年」「1938年」というタイムスタンプが確認されています。

新聞をつくっている方々が、まるっきりネットの外で活動してるのね、って感じですね。あるいは気づいていて「この程度は大した問題じゃない」っていう見方をしてたんだとすると、やっぱ、ネットと仕事や生活が結びついてない笙子だ、なんて思っちまいます。

帳票入力でも、かなりの数の中小・零細・個人企業がパニクったみたいでっせ。実際、欧米では「100年前から未返却の図書」だのって起きてるんだから、国内にも似たようなことはいっぱいあるはずで、それがなんかどーでもいいみたいに扱われてんのはなー。

今回の事態は、「予想されたような最悪の事態は免れたけれども、個別にはさまざまなバグや問題が連発した」というのが正しいんでない?

(2)終わったって言っていいのか?

中には「Y2K問題は終わった」って宣言を出した国もありますね。確かに、とりあえず「越年バグ」関係は、ほとんど出尽くしたと考えてもいいのかも知れないですね。

だけど、まだ危機感を持っている有識者も少なくない。一般向けのメディアは、その辺も押さえて報道すべきなんじゃないかい? 「事実報道」とか言って、「××によれば」「発表された」って書いて、裏取りをしないで済ませる、ってやり方に慣れ過ぎちゃってんだね、やっぱ。自社がその件でキャンペーンでも張ってたりすると、もう、否定的な意見ばっかり山ほど探してきて「有識者の意見」とかつーて載せるのが通例なんですけどね。

新聞やTVがY2K問題に冷ややかなのは、「わかんない」「理解できない」からだって、誰かが書いていたけど、そうなのかな。それならそれで、ほかに「いくらでもやりようがあるはずなのになあ。

たとえば、食料品会社で賞味期限が切れたと誤認して廃棄しちゃって何万ドルの損害、とかやっていたのは去年の秋頃でしょ。そんな短期間で全面的にバグフィックスできたとは、素朴に信じられないわ。場当たり的に越年に関してはパッチを当てただけなんじゃないんかなあ、という疑いを捨てきれない私です。見落としが絶対ないとも思えないし。

(3)「越年バグ」危機が回避できたのは

膨大な工数を必死でチェック、回避プログラムを作り、しかも越年徹夜態勢で職場に詰めていた労働者諸氏のおかげでしょ。結果から見れば、越年態勢は不要だったのかもしれないけれども、なんかあったところも、これのおかげで短時間で復旧できたわけだし。

その辺って、なんかメディアでは「多くのエンジニアたちが会社で徹夜態勢で取り組んでいます」で終わっちゃってますでしょ。オリンピックでメダル取ったに人に「おめでとう! そして、ありがとう!」とか言うくらいだったら、彼らに言ってやれよ、ほとんどのヤツは代休もないんだぜ、なんて思ってしまうわけです。

中には「大山鳴動、ネズミ一匹」だったからって「あんなに騒いだのになにもなかったじゃねえか」なんていう声も聞こえますが、そりゃお門違いでしょ。富士山付加の予言とか言うんじゃないんだモン。「万一の事態があり得る」って話でしょ。

ちなみに私はY2K対策って、メールソフトをしばらく前から2種類並行して使うことにしていたぐらいで、買い置きも何にもしなかったんだけど(^^ゞ

「誰か特需を狙ってフレームアップしたんじゃねえか」って声もあって、これはまあ、そういう想像をしちゃうのはわかります。1年以上前から気づいていても「人的資源とコストの問題」で目をつぶってた連中のなかには、逆転の発想とかゆうて、「Y2K特需」を当て込んだ人も当然いたわけだし。でも、まあ、フレームアップ(捏造)でないことは多少プログラムをかじった人ならわかりますね。

ただ、「人災」なのはもう否定できないけど。多分、コンピュータ産業にこの責任を追及する、って言い出す人は今後も出て来るんでしょうね。

あ、そうか。報道サイドは、そういう「コンピュータ産業による人災だ」というスタンスでいるから「お疲れさまです、ありがとうございます」という発想が出てこない……ってほど一貫しているわけもないか(^◇^;)

なにしろ、今年もやっぱり既存のメディアには期待できない、ってことを新年早々から再確認させてくれたわけで、そういう意味では「コイツは春から縁起がいいや」なのかなあ……。


| Top of Macら | 97年版 | 98年 上期版 | 98年 下期版 |
|
asahi-netホームページ | MaCroSoftホームページ |