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2000年版


2000.9.12

●「情報教育」が始まる:お父さん、お母さんに

 2001年春、小学校から高校で「情報教育」が始まります。新しい指導要領からは、企業社会に役立つ人間を育てようという文部省の意識も見え隠れしますが、それ以前に、このままでは日本が生き残れないという危機感も読みとれます。

文部省は今のインターネットを中心としたコンピュターネットワーク、つまり「情報化社会」を、「新しい競争原理」としかとらえていないみたいです。しかし、これは十分な把握とはいえません。

例えばメーリングリストや掲示板で、なんでもない一般の人が交流の場を作れるのも、「情報化社会」のひとつの姿です。大メーカーと消費者が一対一で対応できるのも、個人の発行するWebサイトやメールマガジンに大企業が右往左往するのも、そしてなによりも、ユーザー=消費者=一般市民が集まって、製品の改良・新製品の開発・行政への働きかけや制度の改善に向かって手を取ることができるのも、みんな情報化社会の姿なのです。

これまで、一般の人はマスメディアや研究組織に比べたら、圧倒的に「情報を持たない側=メディアから一方的に情報を受け取る側」だったわけですけど、もう新聞や雑誌、TVという経済原理で動いているメディアに頼らなくてもいい時代が来はじめているということでもあるんです。
つまり、競争だけじゃなくて「弱者救済」「共存の原理」でもあるんです(一方で「情報格差」などの新しい問題が生まれてきていることも忘れてはいけませんが)。お父さんお母さんが、情報社会の本質と可能性を考えないと、子供たちがなにをやらされているのか理解できなくなるかもしれません。

情報化社会の入り口であるインターネット。これが今のところはくせ者です。でも、変な意味で難しい場所ではありません。これってすなわち世間なんです。世間だったら、知っているでしょ?

ただし、今のところのインターネットは、ちょうど東海道五十三次を歩いていた時代の旅と、まったくイコールなんです。移動速度だけは段違いに速くなっていますけど、そこで起きていることは近代よりも前の旅に酷似しています。
信じられない善人も、こすっからい悪人も、どっちもいます。ささいな失敗をネチネチ言う人もいるけど、世話好きな同宿者もいて、隙あらば人を食い物にしようとする輩もいれば、「そんなのにひっかかるなよ」と道行く人に注意を呼びかける高札も出ているんです。
インターネットを使うってことは、そういう旅を始めたってことです。
自宅と勤務先や学校との往復では得られないものを得るための道具ですから、どうしても、そういうことにならざるを得ないんです。怪しげなヤツは最初から寄せ付けないようになっている地域社会や企業社会とは、セキュリティのレベルが段違いに低いのです。でも、だからこそ誰かに選別された情報を「もらう」のではなく、自力で有用性を見極めながら欲しい情報を求めて行動できるのです。

インターネット=情報化社会は「人を見たら盗人と思え」で「渡る世間に鬼はなし」なのです。
こうなると、すべてを「保護者」があらかじめ教えておくことはしきれません。
カンを養う。見識を磨く。「トラブル対処法を見つける方法」を見つける。
その基本は……「自分でやってみる」ことです。
教えたり教わったりできるのは、上記の結論だけです。

だから、お父さん、お母さん、もう一度「世間」に出てください。インターネットで濃い旅をしてください。
あちこちの掲示板やMLに顔を出して、有用な情報を見知らぬ誰かからもらったり、軋轢を体験したり、だまされそうになったり、泣いたり笑ったりしてください。


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