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2001年版


2001.11.28

●コンピュータを使って仕事をする/生活する、ということは

新しくなった「Win-Mac SOS」の掲示板で、フォントの話題があり、
そこで改めて、新製品やら仕事やらについて考えてしまった。

考えたくないけれども、コンピュータ関係では早くから導入しているほど経済
的には損をするというか、負担が大きいという原則がありますよね。もちろん、
先行している分のスキルAップがあるので、一概に損とは言えませんが。

フォントの形式もそうですが、CPUにしろOSにしろアプリにしろ周辺機器にしろ、
「使えなくなったわけではない」のに、すたれていくので乗り換えざるを得な
い。わたしのような仕事をしていると、「仕事に使っていて」なおかつ「仕事
に使えなくなっていく」のだから、諦めて経費で落として切り替えていきます。
しかし、ふつうに仕事に使っている人は「仕事には使えているけれども、よそ
とのやりとりや、新しいソフトやハードの導入に支障があるから仕方なく乗り
換える」ってことになりますよね。

コンピュータの導入で生産コストが下がるどころか、ヘタをしたらかえって上
がりかねない話です。DTPについて考えると、印刷会社の写植機に比べればずっ
と安い投資でも、デザイナーのトレスコだの定規だのとい比較したら、一生モ
ノのはずの道具が毎年買い換えになるようなモノですから、多少生産効率が上
がったり業務の枠が広がったって、多分追いつきません。

全体に価格は下がっていくので、相対的に見れば負担は小さくなっていくので
すが、導入が遅いところほどその負担はさらに小さくて済むようになっている。
望みもしないのに「新製品が大好きで片端から買い込んで人柱になる人」と同
じことをやっているわけで、これはクヤシイですね。

もちろん、新しい技術や商品が出てくるということは、それまでのデメリット
が減って、新しくメリットが付加されているわけです。しかし、新しい技術に
大きなメリットがあるのならまだしも、大したメリットでなかったりすると、
「そんなことに金を使いたくはないなあ」と本当に思います。

フォントのことを言えば、OCFには泣かされてきたのでOpenTypeにはここ数年期
待してきました。アプリのことを言えば、QuarkXPressに泣かされてきたので
Adobe InDesignには期待してきました。しかし、これまでのあらゆる技術がそ
うだったように、そこが「終点」じゃないんだろうなあ、と考えると気が遠く
なります。

白熱電灯に比べてはるかに経済的な蛍光灯が発明されても、当時のGeneral
Erectric(エジソンが創立者のGE社)は、その特許を買い取って、白熱電灯
の工場の減価償却が終わるまで蛍光灯を世に出しませんでした。ユーザーの利
益は無視されたわけです。そこから考えれば、新しい発明・発見・改良があれ
ば、それをすぐに世に出すというのは、健全な気もしますが、それでユーザー
の負担が大きくなっていくというのでは本末転倒でもあります。
DTPのように生産財としてのハード・ソフトであればまだしも、一般の消費者に
とってのハード・ソフトまでそうであっていいのかなあ、とも思います。

仕事人として、そこにビジネスチャンスを見つけていくぐらいの気構えでない
と、ただ「ついて行かなくちゃ」ではつらいですよね。
いまの私は、そうやって日々変わっていくことが前提になっている技術だから
こそ、仕事になっているので、手前味噌のような自分の首を絞めるような、複
雑な思いですけどね(^^ゞ


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