三鷹市の「イントラネット改善策」について その3
以下は、ちょっとだけ技術寄りの話。
三鷹市のイントラネット(「学校イントラ」とか「地域イントラ」と呼ばれています)では、家庭や職場のパソコンからイントラネットを利用するためには、VPNと呼ばれる技術を利用する必要があります。そのため、まずVPNのためのユーザー認証、次にイントラに接続するときにユーザー認証、さらに動画など、中のコンテンツによってはそれを見るために認証、と、すべて違うIDとパスワードを入力する必要があるのが現状です。最高3回の認証が必要です。
第三セクター式の地元ケーブルテレビがやってるプロバイダ「パークシティ」のユーザーは、かつてはワンアクションでイントラに接続できていました。でも、その後のパークシティーのシステム変更のために、他のプロバイダ利用者と同様にVPNの利用が必要になって来ているとも聞いています。
この辺、詳細は未確認なのですが、「学校イントラを使うためにパークシティに加入した/乗り換えた」という人がいたら、背信行為じゃないか、ユーザーを増やすためのエサだったのか、加入させたら後はどうでもいいのか、という思いもあります。しかし、そもそもパークシティの営業マンはこのイントラの件についてほとんど知らないという話もありますので、パークシティ・ユーザーの中ではマイナーな存在なのかも知れません(ため息)。
さて、ブログの導入は、この認証の手間を減らす効果も狙いの一つです。
今回導入されるブログは、イントラの最上層に置かれます。トップページなのですから、当然ですね。で、ここにアクセスするためには、VPNの認証だけでOKなはずです。
そこから先に入るときには、また認証が必要な部分もあるかとも思いますが、「更新しやすい」イコール「情報量が増える」ということが期待できますので、ブログにたどり着けるだけで十分という利用者は少なくないことでしょう(ブログが更新されなかったり、ブログの情報量が少なかったら、もちろん不満は減らないと思いますが)。
もっとも、しばらくイントラに繋いでいなかったパークシティ・ユーザーは、上記の理由でつながらなくなっているかもしれませんね。そうでなくても、IDとかパスワードがわからなくなってたり、手順を忘れていたりするかもしれません。改めて講習が必要かな、とも思います。
そういうのが平気な人もいるのですが、ふつうの人には、そんなめんどくさいもんって、そもそもどうなの? という思いもあります。
仕事でVPNに類したソフトを利用している人は、自分のマシンにVPNをインストールすることで不具合を誘発することも考えられます。かといって、会社用のVPN系のソフトの設定を変えることは許されていないかもしれない。
そもそも、そこまでのセキュリティを必要とするようなデータって、どんなものなのか。そういうデータがネットワークにつながっているのだとすると、それこそが危険なのではないか。
さらに、VPNの導入には、Mac
OSの場合は、Mac OS X
10.2以降が必要だったと思います。Windowsの場合は……98やMeはダメで、2000かXPが必要だったかな? VPNに依存していると、つまり、VPNのバージョンが上がってより上位のOSが必要になったら、みんな新しいOSを買うか、そういうことができない人は新しいマシンに買い替えるしかないって話ですよね。
あれこれ考えると、「本当に重要な個人情報はネットワークに繋がない」「コミュニケーションや情報公開のための環境は、VPNなど使わないで、ふつうの認証技術だけで見られるようにする」「端末のスペックも、あまり要求しない技術にする」などという配慮が必要ではないでしょうか。特に、どんどんハイスペックな環境を要求するようになって行ったら、学校も保護者も地域も、それを支え切れないですから、そこは考えておかないといけないと考えています。
そのためには、学校ではWindowsなどの市販OSベースの環境構築をやめて、Linuxなどのオープンソースベースの技術を導入すべきではないのか、KNOPPIXみたいな、CD-ROMやDVDから起動できる環境だってないわけではないし、昔見たいにコマンドラインベースなわけじゃなくて、GUIで扱えるようになって来てるんだし、なんてことも考えます。
上記のような話は大島センター長にもしたのですが、「うーん、難しいですよねえ。子どもたちだって世間に出ればWindowsなわけですし」でした。そういう問題じゃないでしょ。いや、教育の場ではそういう考え方は間違ってる。教育の場こそ、常に多様性を保証する方向へ行かなきゃ。「世間に出たらWindows」って、そんな近視眼的なことでどうするよ、その調子だと「違う環境の人もいるんだ」ということを知らずに大人になって、「デファクトスタンダードを支持するだけ」という困った世間を作るのに一役買ってしまうという話もあります。
文科省や三鷹市は、そういう環境の構築にこそお金を使うべきなのじゃないのか、なんてことも考えてしまいます。少なくとも、そういう選択をした場合にどういう効果があるか、どういう問題があるかとか、そういう調査研究もすべきですよね。Windows以外を導入している学校だって、世間には確かあったはずなのだから。
Posted: 金 - 9月 9, 2005 at 08:19 午後