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2001年版


2001.3.4

●学校のDTP、個人のDTP

以前、学校で教師をしている友人から「いま、DTPってどうなっておるのだ」と聞かれた。相談されたといってもいい。
「DTPつうのは、個人で手軽に高レベルな印刷物が作れる、っていう話ではなかったのか」「PostScriptがどうだとかいうデータを作って印刷所に持ち込むっていうのは学校なんかの現場ではアプリもフォントも高いしやっとられんぞ」っていう話だったと思う。

で、仕事でDTPの面倒を見ているようなレベル高めの人と話していて、 ふたりとも同じ結論に達した。

●学校ではインクジェットプリンタなどで印刷して、それ(紙)を印刷所に持ち込むのが一番よろしい
都市部では、出力センターがWindows環境のデータでもMS WordにTrueTypeで作ったものを印画紙だろうがフィルムだろうがガンガン出してくれるので、それで版下を作って印刷所に持ち込んだり、印刷所自体がそういうデータに対応してくれてたりする。が、地方ではなかなかそうもいかないかもしれない。
そこで、上記の結論なのだ。

いまのインクジェットプリンタやTrueType系のレーザープリンタは、600dpiとか1200dpiとかかなり高解像度になっていて印刷クオリティとしては十分なものだ。スキャナも市販の普及品がやはり600dpiだなんだになっていて、もう十分だ。それで作った印刷物で金を取ろうっていうんじゃないんだから。
問題は、印刷所や私のような人間が商用DTPの流れに毒されていて、PostScript環境を大前提に考えてしまうことにあったのだ。

★実際の方法★

  1. TrueTypeフォントで、好きなアプリで作ったドキュメントを、出力解像度600dpi以上のプリンタで印刷する。
  2. 印刷サイズは、仕上がりの配布物をA4にしたいならB4で、という具合に1サイズ大きく作る。つまり、完成品は約80%程度縮小して使うのだということ。
    これによって、印刷クオリティはさらに上がる。
  3. 写真などはスキャナで取り込んで、プリンタの解像度に合わせて貼り込む。
    と言っても、プリンタの解像度の3分の1以下でも大丈夫だと思うぞ。
    この辺はプリンタの性能に依存するから何とも言えないけど、実際にプリントアウトしてみて満足いけば、それでよろしい。
  4. 写真が重要なものなんかは、プリントアウトと一緒に、元の写真も持ち込んで、「ここの写真はこっちを使ってくれ」と印刷所に申し込む。
    おそらく軽オフセットでの印刷になるので、印刷所には造作もないことだ。
  5. 印刷所に発注するときは、「版下を(あるいは版下と写真原稿)を持ち込むから80%程度に縮小して印刷・製本してくれ」というだけで話は通じるはず。
    カラーでもこれで行けるだろう。高くなるけど。
★作成時のポイント★
  1. 縮小するんだから、文字は大きめにしておこう。
    具体的には、子ども向けなら本文を14ポイント、キャプションを12ポイントぐらいで作成しておけば縮小したときちょうどいいんじゃないかな。大人向けなら本文12のキャプション10でもいけるかな。
  2. 仕上がりの大きさがよくわからないときは、一度プリンタで縮小印刷してみるといいだろう。ちょっと時間が長くかかるだろうけれども、なに、全体をプリントとしてみる必要はない。1〜2ページほど縮小プリントしてみて、感じがつかめればいいのだ。
  3. 見開きで作ってはいけない。
    印刷所では、印刷する前に、ページ数に応じて面付け作業っていうことをやる。大判の紙に印刷してからそれを折ったときにちょうどページの順番・表裏が合うようにする作業。だから1ページずつが、一定のルールに従って配列され直されているのだ。
    この作業のときに、見開き=2ページ分を1枚の紙に印刷してあるものを持ち込まれると、印刷所の手間が増えてしまうのだ。
  4. 大きな写真や地図、図、表なんかが2ページにまたがるときは。
    基本的には、2ページのウチ若いページの方が偶数のときにだけできるテクニックですね。この辺を間違えていると、見開きではなく表裏に印刷されてしまって情けない思いをする。だから、あんまりやらない方がいいかな。少なくとも、印刷屋さんに、「ここは見開きで見せたいのだけど、これでページは合ってますか?」と相談するのが確実。ここじゃ表裏になるよ、って言われたら、ちょっと順番を入れ替えて考え直す必要がある。
    それと、文字がページの継ぎ目近くに来ないように気を付けてね。綴じ方によっては、その部分は読めなくなっちゃうからね。
    で、3と矛盾するようだけど、これは見開きでプリントした方がいいかも知れない。印刷所がバラして配列し直したときに、ずれていない状態ではどうなのかがわからなくなることを防ぐためだ。
    ま、これは印刷屋さんと相談してください。

で、問題は印刷所にデータを持ち込むのよりも高くならないか、ということなんだけど、これは印刷所によって違うだろう。従来工程の方が楽だという場合もあるだろうし、データでもらった方がウレシイという印刷所もあるだろう。
実際に仕事を頼みたい印刷所と相談してみるしかないのだ。
この方法の最大の利点は、印刷所からアプリケーションやフォントを指定されたりしないで済む、ということだ。そこを考え併せてどっちの方法にするか答えを出して欲しい。

せっかくデータで作っているのだから、印刷所の高級な機材でよりキレイに出力して欲しい。ごもっとも。
近頃はPDFってファイル形式でWindowsでもMacでも見られるから、校正はこれでやっている。印刷所もそれで受け付けてくれるとうれしいのだが。ほんとうにごもっとも。
データだったらメールやなんかで送れるけど、紙だと郵送か宅配便、最悪は自分で持参って言うことになってしまう。時間もかかるし面倒だ。それもごもっとも。

だけど、それはあなたの環境と印刷所の環境によっては、印刷所に大きな負担を強いる方法かも知れない。
印刷所の設備投資がもう一回りすると、その内にはTrueTypeでもPDFでもなんでもいいぞ、ってことになってくると思う。思うのだけど、それは最近の機材を揃えている場合だ。いまのところは、DTP対応の印刷所でも零細なところはちょっと古い環境しか持っていなくて、その減価償却に苦しんでいるところだろう。
だから、もう少しの間、我慢してあげて欲しい。その間も、「こういう方法はまだできない?」と少しずつプレッシャーをかけよう。自分が望んでいることを理解してもらうのだ。

いまのところ、「印刷所には少し大きくプリントした紙を原稿として持っていこう」。21世紀になったのに、こんな逆行するような話で申し訳ないけど、これが結論。
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