ことの発端は、今年(1997年)2月に遡る。

友人の誘いで某ゲームメーカーの仕事をすることになった。文書ベースの仕事だ。
わたしの担当者は「これを使ってください」、と、デジタル携帯電話とサブノートを一台貸与してくれた。「おお! 太っ腹!!」と感動したのもつかの間。その部署は、スタッフの使用するパソコンのプラットフォームを
Windows95で統一していたのだ。

わたしは、ここ数年はMac一本槍で来ていた。その昔はワープロ専用機も使ったし、NEC98だって数年に渡ってDOS3.xで使っていたが、Win95は初めてだ。
「Macを使ってるなら、すぐ慣れるよ」「DOSの経験もあるなら問題ないよ」との周囲の声も空しく、不慣れなWinでの作業は
Macでの作業の3倍(!)の時間を要した。ひとえに「不慣れ」が原因ではあったが、「余計に時間がかかる」ということはフリーランサーには死活問題だ。すぐにも慣れるべく、貸与されたWinマシンをどこへでも持ち歩き、使いまくった。

 

だが、2〜3カ月ほどのウチに図を描いたりすることも出てくると、ある種の限界を悟った。

「MacでできることはMacでやった方がいい!」

そこでチェックを入れたのがNIFTY SERVEの会議室「Let's Mac"Win"tosh◇MacとWinの素敵な関係 」だ(「マックライフステーション SMACLIFE」20番会議室)。ファイル互換の話から便利そうなソフトの話まで、役に立ちそうな話で溢れていた。過去の百数十件の発言を読み、Windows95をMac風にカスタマイズするソフト「WinMac」の存在を知る。
さっそく過去の発言にあったサイト(
http://www.kh.rim.or.jp/~eyes/maclize.shtml)から入手。9600bpsの携帯電話接続で40分以上かかかった。しかし、Winにインストールすることができない!

 

困り果てて、上記の「Let's Mac"Win"tosh」で質問。暖かく迎えられるが、この問題はダウンロード時にファイルが破損したものと思われた。再度のダウンロード以外に方法はない(雑誌のCD-ROMにもよくある、との情報もあったが、手元には接続できるCD-ROMドライブがなかった。Macの内蔵CD-ROMドライブをWinで使える魔法をご存じの方がおいででしたら、ご教示下さい)。そういわれても、また40分のダウンロードはいやだった。

この頃、わたしはすでに作業の大半をMacに戻し始めていた。しかし、我が家にはLANはない。Winマシン用のMOも自宅にはない。とはいうものの、フロッピーベースでのデータのやりとりは、いかにもまだるっこしい(画像ファイルなどは、FDには入りきらないこともしばしば)。
幸いWinマシンはゲームメーカー社内でのLANを利用するためにEtherNetカードを装填していた。Macの方も10Base-Tが標準装備されていた。

「これはEtherNetで繋ぐしかない!」

しかし、Macでのネットワークもローカルトークしか知らなかったわたしは、何から手をつけたらいいのかも判らない。

 

ここで再び頼ったのが、「Let's Mac"Win"tosh」だった。MacとWinを家庭内LANで接続している人に、前述の質問とともに、どうすればいいのかを質問した。それが5月後半のことだ。
親切な先輩ユーザーたちに三日にあげずしつこく質問をするうち、この話題だけで長いコメントチェーンができそうな気配が漂い始めた。私の欠落しまくりの経験では、容易ではなさそうなのだ。
そして、6月1日、この会議室で、わたしのはた迷惑な
「Win-Macのイーサ接続日記」が始まった