GOLDEN WEEK last night special

Windows98は誰にとって「買い」か　その１

●巷にあふれるであろうWindows98本に思いを致す

Windows95登場のころを思い返すと、「Windows98の登場でよりユーザー（初心者）にやさしくなりました」って本がいっぱい出てくるのだろうなあ。大きなお世話なんだろうけれども、似たようなことを考えなければならない同業者としては、気になるところではある。

「PCの家電化」って言っている知人もいる。そりゃ、方向としてはそうなんだろうけれども、それじゃあ「Windows98で今度こそはじまる、“簡単パソコンライフ”」ってことか？っていうと首を傾げる。だいたい、そんな中身じゃ、もう誰も見向きもしないだろう。WIndows95で「ダマされた」と思ってる人も多かろうし。
よく言われることだけど、ほんとに家電なんだったら「解説書なんかいらん」はずだもの。誰がレンジの新型を本で調べて買うかいな。ふつうに使おうと思ってる人も解説書が欲しくなるうちは「家電」ではないよね。

その辺は、Windows98の登場でPCのなじみ易さが自動車、それもオートマ車ぐらいになるという風に考えればいいんじゃないかと思っている。σ(^_^;クルマは運転できないけどさ、クルマって買い換えからナニから、いろんな意味で情報の需要があるじゃないですか。ああいう情報は必要だろうしね。

きっと《失敗しないWindows98導入ガイドブック》なんてのが出て来る。目次はこんな具合。

  1. 「診断します！　あなたのマシンは買い換え／買い足し／そのまま／がお得！」
    1. 「チャートでわかる、あなたのマシンの対応度」
    2. 「今、マシンを選択するならここに着目！」
    3. 「あなたのマシンをWindows98快適環境に！　グレードアップガイド　周辺機器編・ＣＰＵ編」
  2. 「インストール・再インストールの完全ステップ解説」（今度からはカンタンらしいけど、これまでとは違うわけだから、押さえておきたいよね）
  3. 「上書きインストールでホントに安心？−−トラブルを避けるならフォーマットから」（なのかどうか知らないけどさ。「フォーマットから」はMacOSの経験からテキトーにつけたの）
  4. 「Windows98トラブルシューティング−−困ったときはこうしよう」（どういう時に困るのかよく考えてないけど、95時代からのFAQも役に立つものなら入っていていいわけで）
  5. 「あなたの不安に応えるＱ＆Ａ−−−今使っている周辺機器はまだ使えるの？　このソフトはだいじょうぶ？　ＤＶＤってどこがいいの？　etc.　etc.」

    さらには、これで２台目購入を迎える人も増えるだろうから
  6. 「Windows98マシンとロースペックWindows95マシンを同居させる」
    1. 「２台のマシンを生かすHomeLAN構築術（IrDA編、EtherNet編、ピアツーピア編）」
      　　　番外編：MacとつなぐWindows98マシン−−TCP/IPで決まり！かな？
    2. 「用途別使い分け：Windows95マシンにはこの仕事、Windows98マシンにはこの仕事」
    3. 「モニタ切替器・ＳＣＳＩ切替器で２台の本体を使いこなす）」

こうゆう本だったら、まあ、これはこれで「役に立つ本」をまじめに考えているんだと思う（ホントにこれをやる編集部がいたら、企画料をください(^^)）。「Windows98を買うかどうかの判断は、読者が勝手にしているのだ」というわけです。「買いだ！」とか言われるよりはマシですよね。読者を「たまたまこの件については無知だが、基本的には立派な大人なのだ」と遇しているわけで、実用書作りの姿勢としては、わたしは評価できると思います。ただ、買うのが大前提になっているってことで、自然に「Windows98を導入しましょう」の趨勢を作るのに加担しちゃいますよね。その辺がどうも、気持ち悪いけど。

もっとも、この手の本の場合は、ほんとにきちんとした情報が出ているかどうかが問題ですよね。検証して、さまざまなケースに応えられるようになっているかどうか。リファレンスブック足りうるか、ですね。
あるいは、「こういう条件下でのレポートだ」ときちんと断ってあるかどうか。
さらには、手取り足取りもいいんだけど、「この本に書いてあるとおりにすれば確かにできるんだけど……」ってんじゃなくて、できれば、この本を読んでPCと接すると、接し方が身に付く、っていう本がいいですよね。で、それでいて「困ったときはいつでもこの本に戻っておいで」っていうの。ああ、いいなあ。
もしもそういう本に出会ったら、編集部に励ましのお便りを送ってあげてください。そういう本を作るのは大変なのに、報われるところ少ないんです、きっと　m(_ _)m。

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