今度は奄美の本だ


例によって明日、配本開始であります。濃〜い関わりを持った本が、短期間に相次いで出ることになりました。手がけたどの本にも思い入れはありますが、先のPDF本ともども忘れられない本が、また増えました。ふつうは、こうやって紹介というか宣伝というか、しないんだけど、先のPDF本とこの本はねえ……(これから始まるニセ科学の本も、似たようなエントリを書きそうだなあ)。
 

 
この本も、いろいろありました、ほんと。(°o°)遠い目……。
実は、このカバーのメイン写真の補正は某・別の本の著者さんにやってもらったんだったりするし、装丁やフォーマット作りでも見出し書体でも執筆者探しでも、果ては原稿整理でも、あれこれあれこれ。校了後にもあれこれ(爆)

あまんゆ代表の山川さんは、古い知り合いのライターさん。知り合ったときは駆け出しの翻訳者だったんだけど。こっちも駆け出しの編集者だったんじゃないかなあ。
そんな古い知り合いが「気合い入れてるテーマの本の企画が通った!」「あたしのライフワークのアマミの本だ!」「でも、あんま予算がないし、そもそも編集する人がいない……」「まだ編集者が見つからない(-_-)」「まだいない(><)」なんて言ってたら……ねえ(^^;;

あ、ふつうの観光ガイドだったら手伝おうなんて思わなかったと思います。島在住の人とリピーターと、何人かで寄ってたかって作るとか、群島といっても均質じゃなくって、ひとつの島でも集落(シマ)によっていろいろあって、そういう多様性が自然に感じとれるような本にしたいんだとか、そんな話を聞いてたからだと思う。ま、ピークを迎える頃には他の企画は手離れしているはずだったし(例によってそうならなかったけど・大汗)。
こう、視点が近い人とする仕事は気持ちがよいですよね。

先のリンク先は、先頃オープンした公式ブログ(校了後まで大変だった理由のひとつです。「ひとつ」なところに苦笑)のエントリです。トップページはこちら。

奄美の島々の楽しみ方
http://shimajima.aman-yu.com/

しかし、奄美群島って、どこにあるか知ってます? あたしは知りませんでした。「奄美大島」っていうと聞いたことがあるような気がしましたけど、沖縄の一部かと思ってました。もちろん違ってました。九州本島と沖縄の間にあって、沖縄県じゃなくて鹿児島県でした。ぼくが地理オンチなせいか思ったら、意外に沖縄と思っている人は多いようで、帯コピーにも「沖縄じゃないぞ」みたいな案が飛び出したりしました(^^;;

引きこもりで地理オンチのぼくでも知ってたのは「与論島」と「喜界島」かな。群島の南端と北端の島なんですね。
南の端の与論島は、あの、もろに「南の島」ですね。航空会社のCMとかで知ってたんじゃないかな。「リゾート!」って感じの。でもね、なんつーか独特の民俗行事とか神話とかあってね、おもしろい。沖縄にかなり近いけど、でも沖縄じゃない。群島の他の島とも、似てるところもあるけど違う。もちろん、九州本土?とも違う。海で隔てられてるって、そういうことなんですね。
喜界島は「キカイガシマ」じゃなくて「キカイジマ」。オニガシマってここか? とかいうトな説を聞いたことがあったと思ったんですが、それはキカイガシマだったのかもしれない。
んで、あっちのシマではこうだけど、こっちはこうだ。なんてことがアレコレあったりして、「群島」つうても一筋縄じゃないんですねえ。

そんな多様性にも着目した(くどいぞ、オレ)、紀行文とゴッタ煮的エッセイの1冊であります。執筆者はコラムまで入れたら20名。あたくし的には過去最大のケースで「単行本1冊を8人で共著」だったので倍以上です。新記録。

メンバーはシマのこれからを担う30代若手十数名と、シマに惚れちゃったリピーター数名。みなさんそれぞれの体験を通じてシマのあれこれを語っています。島に住んでいる人のなかにも、何年か前まではリピーターだった人もちらほら。プロのライターもいれば、本業はガイドさんとか地元紙の記者さんとかライブハウスの経営者とかシマの果物のネット通販している人とかもいて、もう、色とりどり。んだから「知らないことまで調べて書いて凡百の解説書にするぐらいなら、偏っててもいいから体験談を書いてくれ」ってお願いしました。で、エッセイ集なわけです。

もちろんちょっとした旅行ガイドにはなります。なりますけど、そういう「使い方」よりはむしろ、「読んで楽しむ、群島のエッセンスの詰め合わせ」っていうふうに楽しんでもらえるといいなあ、と思います。間口の広〜い入り口。その奥には、シマという奥深くって広大な世界が広がってる。そんなものを目指しました。島は小さいとか狭いとか、そんなことじゃなくて、内地(本土)の普通の町の何倍も入り組んだ歴史を抱えている、人間の営みの濃縮ジュースみたいな世界。
そんな世界に住んでたり通ってたりする人たちの日常の話や日頃考えていることが、どんだけボクラと違うか、どんだけボクラと同じか、そんなことも楽しめると思います。少なくともぼくは楽しめました。
青森出身の私が郷里との共通項に気づいてびっくりするぐらいなので、どなたが読んでも楽しい驚きのヒトツやフタツは、ええ、ありますとも。なんつっても1冊の中に自然から歴史から民俗から郷土料理から産業から、無慮40余りのテーマがひしめいてござる。
そうそう、エッセイだから肩が凝らずに読めるんですが、脚注があちこちにムリムリムリと詰まっています。そこらへんは、ちょと濃いめです。削るのと詰め込むのに苦労はしましたが、その結果、拾い読みでも楽しめる本になったんじゃないかな。

Posted: 月 - 2月 5, 2007 at 07:19 午後            


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