3月に出た本:2色デザイン・テクニックのセオリー
3月に、こんな本が出ました、編集や執筆で関わった本です。グラフィック社『2色デザイン・テクニックのセオリー—絶対はずせないデザインのお約束』(版元、Amazon、ARV)BNN新社『Design
Basic
Book—はじめて学ぶ、デザインの法則』(版元、Amazon、ARV)1月下旬からこっちの実質2か月でPDF本から奄美本、そしてこの2冊で合計4冊。こんなことはボク的にはえらく珍しい。が、それだけでなく、ちょっとどっかに書いておかないとなあ、ということがあったのでエントリを起こすことにした。
ひとつめ。『2色デザイン・テクニックのセオリー—絶対はずせないデザインのお約束』には後半のテクニック編(つまりはDTPの話)の部分の編集で関わった。すでに、ちょっと話題にしてくれているブログがある。デザイン会議室:制限されたデザインの面白さ--2色デザインテクニックのセオリー
http://designkaigi.net/2007/03/post_19.html
ありがとうございます。でも、アマゾンでも買えますよ。少なくとも今は。この本については、2つ書いておきたいことがある。ひとつは正誤訂正。本書では、特色を使ったデータ作成をするなら、カラープロファイルを使用してスポットカラーを画面やプリントアウトでシミュレーションすると便利だと説明しているのだが、その際に、「QuarkXPress
4.xまではできないけど、6.5以降だとできる」と書いてある。これ、厳密にいえば4.xでもできるのだ。ただし、その場合、Extentionの「Quark
CMS」が必要になる、という条件がつく。そのことを書いていない。この話が出て来るのは2カ所。一カ所はP.105。大見出し「データを作成する前に考えておかなければいけないこと」のブロックの最後、小見出し「プロファイルを使って作業環境と出力をコントロールするのがベスト」の最後の部分。 なお、QuarkXPressも6.5であれば同様のことをおこなうことが可能だ。と書かれている。これは二刷(が出れば)以降では、次のように修正する予定だ。 なお、QuarkXPressも4.1以降であれば同様のことをおこなうことが可能だ。ただし、4.1の場合はインストールCDに同梱されている「Quark
CMS」のインストールが必要。もう一カ所はP.107の表「デメリットをカバーするアプリケーションの機能」にある「プロセスカラーで作成」>「画面出力」の「QuarkXPress」の部分。 (6.5Jのみ対応)を、 (4.1J以降ではExtention「Quark
CMS」で対応)と修正する予定だ。もうひとつは、本書のメインテーマ、二色印刷そのものについて。思いのほかわかりやすい資料がなかったということなど。ぼくはここ数年、DTPについての本や記事を手がけることが多かったのだけれど、ほとんどフォントやレイアウトアプリについての本ばかりだ。ハードウェア、OS、グラフィックについては暗いという自覚がある(PDFについての記事や本を手がけたのは例外に属する。PDFの有用性に対する期待と自分なりに使ってきて便利だと感じていたこと、それよりなにより著者さんとのつきあいが大きい)。そんなだから、たとえばレイアウトアプリと同様に同じDTP用アプリとされていても、IllustratorだのPhotoshopに関する本なんて話が出ると、書くのでも編集でも「ほかの詳しい人に」と言って逃げていたのだ。だから、今回「二色についての本の編集」と言われたときにも、最初は同じことを言って逃げを打った。が、そんな編集者はいないと言われ、義理もあって逃げられなくなったのだ(いや、もちろん担当編集者が自分でやればできるのだ。DTPWORLDの副編だった人だもの。けど、本人はそこまで手が回らない。そして、ほかに誰かに、となったときに担当者は誰も思い浮かばなかった……ということに過ぎない)。で、本をひっくり返したり執筆者たちに話を聞いたり印刷会社の人に話を聞いたりしたのだが……奥が深い! それなのに、簡潔にまとまった本がない! 本によって説明が違う! 操作についてはともかくとして、「何を目指して原稿をいじればいいのか」「それはなぜなのか」それがわかる本がない。これはなかなかびっくりした。DTPに限らず、印刷まわり本づくりまわりのネタを掘り始めると、いかにローカルルールが多く、さまざまな方言があるかを思い知らされる。そこら辺は、もうある程度仕方がないと思っている。みんな学問としてやっているのではなく、実務としてやっているのだから、誰もが共有できる「定義」なんてことは二の次なのだ。そのうえ、DTPの大元が舶来技術だったりするもので、妙にカタカナ語が混じる。カタカナ(外来語)で言われていることと、従来の印刷業界や制作業界での業界用語とが一対一で対応しない(あるいはしないように見える)ことも少なくない。なかでも、二色あるいは特色印刷というのは、なんというか、上っ面をなでたような説明で終わっている本が多いようなのだ。たとえばダブルトーンと二色分解の技術的な違いはわかっても、「で、どうすればいいのさ」がわかるような本が見あたらないのだ。何冊もの本を読んでも、どこに着目してデータをいじればいいのかがわかるような記述はなかった。どういうときはダブルトーンにして、どういうときは二色分解にすればいいのか、なにを基準にそれを判断するといいのかさえもつかめなかった。これにはいくつもの要因があるのだろう。ひょっとすると傍流の技術ってことなのかもしれない。そんなことはないような気がするのだが、単色あるいはプロセスカラーに比べれば利用頻度が低いということはいえるのかもしれない。重視されてこなかった、ってこともあるのかもしれない。なんちゃってな原稿でも通っちゃうことが多いとか。デザインとしての着眼点と原稿制作技術としての着眼点の両方が必要で、実務としてそれなりに対応できるようになるには、けっこうな経験を要するってこともあるだろう。今回の本で、それが十分に示せたとは言えないかもしれない。この本だけで、どんな目的のときでも、どんな原稿のときでも、素早く対応できるようにはならないかもしれない。でも、どこを見てどこをいじればいいのか、どんないじり方があるのか、それはどういう考え方に基づいているのか、それは示すことができたはずだ。ADもヘッドの編集者もDTPWORLDを作って来た人たちだからか、なんだか見た目は(かつての)DTPWORLDの特集ページみたいな感じ。それはいい面も悪い面もあるに違いない。でも、奥深い森の入り口にはたどり着けるはずだ。そして、まるで手ぶらで入り口から中を覗き込むのではなく、羅針盤となる着眼点や考え方については本書の中に、特にコラムにがっちり埋め込まれているはずだ。具体的な操作については本文の方を読んでね。この本に限った話ではないのだけれど、改めて感じたことも書いておこう。もう何年もの間、同じことを考え続けている。操作について、Tipsについての本ばかりがもてはやされている。考え方を学ばなければ、個々のテクニックは小手先のものに過ぎないのだけれども、そんなことを述べた本は売れないからと作られない。「今日の仕事にすぐに役立つ本」ばかりを喜ぶ読者がいるのは確かだ。しかし、そこだけを見ているのでは、本を作る方もおかしい。マーケットの大半は「わかりやすさ」と「即効性」を喜ぶ読者だろう。そもそもが小さなマーケットでは「考え方」を素人する読者は、本当に少ないことになるだろう。しかし、だからといって、そこに目を向けるのをやめてしまっては印刷やDTPの世界は口伝の世界で終わってしまう。年々歳々、優秀な先人=職人たちは業界を去っていくのに。デザインの世界はまた違うかもしれない。マーケットが大きいかもしれない。だが、デザインと制作の垣根は限りなく低くなっている。印刷や制作の世界の資産を引き継ぐ先は、印刷や制作の世界に住まう人たちだけではなくなっているはずなのだ(実は、編集者や営業マンも重要な役割を担うことがわかって来ているのだが、彼らは自分たちの技術に驚くほど関心を払わず、彼らに語りかける術をぼくはいまだに見つけられないでいる)。長くなったので、もう1冊については次のエントリに。
Posted: 火 - 4月 3, 2007 at 02:32 午前