2004.4.23/4.27

本はどうやって作るか −中学生の総合学習の時間のために−

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3.)サムネールを作る

企画で説明した、記事のツクリ・スタイルに合わせて、簡単なページの見取り図を作ってみます。

サムネールは、手書きで簡単に図版(写真、イラスト、地図、表、グラフなど)の位置や大きさ、点数、文章の量などがわかるようにコチャコチャっと書いたもので十分です(下図参照)。それぞれのページにはなにが入るのかが、そこにはどんな内容の文章が入るのか、ほかの人でもわかるようにします。足りないものがないかを検討したり、もっとわかりやすくするためにはどうしたらよいかを考えたり、狙いにうまく合わせたり、ほかの人の意見を聞くためにも、ぜひ作りたいですね。

取材の前にサムネールができるのが理想ですが、資料などからではどうもよくわからないという場合は、サムネールを作れと言っても無理ですよね。そういうときは、思い切ってサムネールを作るのは諦めて、すべては取材の後で考えることにしましょう。取材できた範囲で、どういう記事にするかを考えるわけです。

サムネールとコンテ

サムネール(Thumbnail)というのは、親指のツメのことです。小さく作ることが多いので、こんな呼び名になったのでしょうか。

簡単な見取り図ということからか、ラフ(Rough 粗いスケッチ、下書き)と言ったり、コンテ(Conte デッサンに使う柔らかい鉛筆みたいなもの)と呼ぶことも、また、両方を合わせてラフコンテ、ミニラフなんて呼ぶこともあります。

大きさは、慣れてきたら小さくてもいいのですが、最初は仕上がりがイメージしやすいように、実際の大きさで作るとよいでしょう。

取材前にサムネールを作るときは「最高にうまく行ったら、こうなるぞ」というイメージで作りましょう。そうすると、それが目標になります。でも、なにがなんでもサムネールの通りに実現するんだ、と考えると無理をすることになりがちです。理想のサムネールができたら、「ここまでできたら100点満点だけど、60点できたら合格だ」というぐらいに考えて、記事づくりに取り組むことにしましょう(なあに、プロだってそんなもんです(^^;;)。

ただし、このサムネール抜きで、いきなり記事を書きはじめたりすると、文章の量が全然足りなかったり、多すぎたり、記事の狙いから行くと写真は大きくたくさん欲しいのでいっぱい撮影したのに全然入れられなかったり、なんていう悲しいことも起きかねません。

遅くとも記事を書きはじめる前に、お手本にしたい記事を見ながら、こんな写真が欲しいな、こんなグラフが欲しいな、これぐらいの大きさがいるな、などと確認しながらサムネールを作っておきましょう。そうすると、自分がその記事に何を入れたいのかもはっきりします。諦めなければ行けない部分も見えるかもしれません。
少なくとも、いざ記事を作り始めてから「しまった、あの写真が入らない!」などという後悔をすることは減るはずです。

4.)取材-1

さあ、イメージがはっきりしたら、サムネールを持って取材です。取材できた(イラストができた、写真が撮れた)ところは、チェック(チョン印)をつけたりすると、漏れなく取材できますよ。

チェックするために持ち歩くなら、大きなサムネールを作ったときは、縮小コピーや、一覧にしたメモにした方が便利です。

サムネールを作れなかったときは、せめて、何を聞くかというメモだけでも作っておきましょう。

取材にはいろいろな方法があります。資料調べも取材です(記事に使うなら、なにを参考にしたか、あるいはなにからの引用なのかがわかるようにしましょう)。テレビを見るのだって、関係あるなら取材です。ネットで調べるのも取材です。もちろん、人に話を聞くのも取材です(ということは、手紙を出すのも取材ですし、電子メールでも、電話でも取材です)。

取材申し込み

取材をする前に、「取材申し込み」をします。

取材申し込みは電話でする事も多いですが、名乗った後、「いま、お話してもよいですか?」「いま、少しお時間をいただけますか」などと、まず相手の都合を確認します。いきなり用件を切り出しても、相手は仕事中で困ってしまうかもしれないからです。

自分の名前や何ものなのか(××中学校の何年生)を名乗り、何のために(学校の授業で本づくりをするために)、何についてお話を聞かせて欲しいのか、何を見せて欲しいのか、手短に説明します。説明が長くなるときは、事前に手紙やFAX、電子メールで資料として送っておくこともあります。このときも、企画書やサムネールが役に立ちますよ。

お話を聞くだけの場合は、電話取材という方法もあります。その場合は、いま電話でお話を聞いてもいいか、いまは取材の申し込みだけで、日を改めて取材のための電話をした方がいいか、まず確認しましょう。

申し込みのときに、先方の都合を伺って取材の日時や場所を決めます。詳しい行き方がわからないときには、このときに一緒に確認するようにします。郵便やFAX、電子メールなどで地図や案内図(または、そのURL)をもらえるといいですね。

「申し込み」には決まりなどはありませんが、自分の都合ばかりを優先しない事が大事です。まずは、日程に余裕を持って申し込みましょう。いきなり「明日」などというのは無茶です。そして、〆切に間に合う範囲で、相手の都合が優先です。〆切に間に合わせられないようならば、ほかを取材する事や、企画そのものを見直した方がいい場合もあります。

また、写真を撮る必要があるときは、前もってお知らせしておきます。取材に伺うのが何人なのかも、伝えておけるとベストです。

先方が当日近くなって急に都合が悪くなる事もよくあります。ですから、こちらの連絡先を教えておくのも忘れないようにしましょう。

取材の心構えができたら、出かける準備に入りましょう。


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